シリーズ おススメの一冊 【第5回】

2020.07.23 NEWS

ようこそ、数理モデルの世界へ

経営学部講師  永岡 成人

今回紹介する一冊は『その問題、数理モデルが解決します:社会を解き明かす数理モデル入門』です。まずは、出版社のウェブサイト(https://www.beret.co.jp/books/detail/709)から内容紹介を転載しましょう。

“対話形式で、数理モデルの基礎が身につく入門書。数理モデルとは、現実の世界で起こるさまざまな現象を数式で表したものです。数式にすることで、その現象の性質を理解したり、その現象に何か変化があるときに、どのように変化するか予測したりできます。アンケート調査で正直に回答してもらうにはどうすればいいか、商品レビューの信頼度をどう評価するか、ある条件の変化が売り上げの変化の原因かどうかなど、身近なテーマを題材に数理モデルを解説。統計や確率の記憶がおぼろげでも大丈夫。数学記号の読み方を丁寧に紹介していきます。とっつきやすいのに本格派な一冊。”

この本は物語形式風に書かれており、青葉と花京院という2人の登場人物が登場します。各章では、青葉が抱える問題に対して、花京院が数理モデルを使いながら助言していくという形で話が展開していきます。現実の世界で起こるさまざまな現象をどのようにして数式で表していくのか、数式からどのように結論や含意を引き出していくのか、その様子が描かれています。

本の題名や紹介文からわかるように、この本には数学が登場します。大学に入学するまでに数学を学習したことがある人は多いと思います。この本に登場する数理モデルは、その数学の使い道のひとつと言えるでしょう。

しかし、数理モデルを通して社会を見るという見方に触れたことのある人はあまり多くはいないと思います。数学の学習状況は人によって様々なので、これまでに学習したことのない分野の数学が登場したり、出てくる数式を難しく感じたりするところもあるかもしれませんが、数理モデルを通して社会を眺める面白さに触れてみてください。

関連する本としてもう一冊、『社会をモデルでみる:数理社会学への招待』も紹介しておきます。出版社のウェブサイト(http://www.keisoshobo.co.jp/book/b26154.html)で目次を見てみると、多種多様なテーマが取り上げられている様子が窺えます。それらのテーマにあわせて数理モデルが紹介されていますが、それぞれの内容は独立しており、ページ数も短めにまとまっています。より多くの数理モデルに触れてみたくなったら、この本を開いてみるのもいいでしょう。

永岡成人の一冊+1 :
浜田宏『その問題、数理モデルが解決します』ベレ出版、2018年
数理社会学会(監修)土場学・他(編)『社会をモデルでみる:数理社会学への招待』勁草書房、2004年