2020年度 ビジネスC3
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シロクこのたび、経営学部長に松田裕之教授が就任されました。この機会に、新たに発刊された『連邦陸軍電信隊の南北戦争』・『150年前のIT革命』(いずれも鳥影社)という2冊の書籍のお話、執筆のきっかけや経緯、苦労されたこと、さらには今後のこと等についても語っていただきました。(取材:辻幸恵ゼミナール生 富田麻友 王芷諾)富田麻友さん(以下、富田) 執筆のきっかけ、経緯を簡単にお聞かせください。松田裕之学部長(以下、松田) そうですねぇ。きっかけとか経緯とか言われてもなぁ…。ぼちぼち戦争に関する本でも書くか、久しぶりに電気通信に関する本も書いてみよか、という程度かな。今回に限らず、大体いつも、「あ? これは面白そうだなぁ」と思ったら、いろいろと調べはじめて、「うん、こいつぁ書けそうやな」と当たりがつけば、手元に集めた文献や史料をもとに構成を組み立てて執筆開始という手順ですね。執筆に入ってからも、調査や取材は継続しますけどね。書き始めると、「こいつは調べ直さなあかんな」とか「この史料はどうもあやしいのではないかな」とかいうのは、必ず出てくるものなんです。で、今回は現在にもつながる軍事と通信の危うく怪しい関係を歴史読み物にまとめてみました。あのぉ〜、あまり「これ取材です」的に構えられると困りますが…。富田 執筆の時の一番、苦労したことをお教えください。松田 苦労するのは、本を出してからの話(笑)Amazonの扱いはさておき、とりあえず梅田と三宮のジュンク堂やジュンク丸善のどの棚に何冊置いてくれているのかは、出版後いつも気になって見て回りますね。「編集担当に合せる顔がないなぁ」とかなったら、ちょっと焦る…。テキストとして皆さんに買ってもらうという裏ワザは、わたしの本は無理だから(笑)あ、執筆の時の苦労話でしたね。それは、歴史を探訪するときに必ず遭遇するミッシングリンク(失われた環)をどうつないでいくのか、ということです。歴史物を書く人間には避けては通れない難関やなぁ。というか、これが歴史物を書くという作業そのものなんですが…。ただし、その作業には出会いがあります。ひとつは、いま生きている人との出会い。もうひとつは、いまは亡き死者との出会いです。リアルタイムでのコミュニケーションと、過去からの語りかけに耳を傾けることですね。どちらも面白いし、刺激的だし、結局、そのお陰で執筆の苦労は相殺されて余りある、ということになる。とすると、やっぱり苦労するのは本を出したあとの話になるか(汗)。王芷諾さん(以下、王) 今年度の目標は何ですか?(個人的な)松田 またまた、そんな優等生な質問するかぁ(笑)。とりあえずは、いま書いている本を、夏頃に書店に並べることかなぁ。江戸時代の飛脚がどのようにしていまの物流最大手の日本通運になったのか、そのカギを握るひとりの経営者の成功と挫折を描いた評伝なんだけど。これは番宣ね(笑)いまはゲラが上がって校正って作業の段階です。編集担当にエラいご苦労を掛けているのだが…。王 …。松田 しかしなんだね、この状況下、本を書店に並べるのもなかなか大変。出版社の皆様にはほんとうに感謝ですね。これが仕上がれば、というか、実は並行して手をつけているのは、高砂出身の奇才・工楽松右衛門の伝記。彼の生涯を通じて、日本の江戸末期にその後の近代化につながる技術的基盤が既に在ったという事実を浮き彫りにしたいわけ。松右衛門の御子孫の方の教えを乞いながら調査を進めています。実は私、結構足で稼ぐほうだから、いまの移動の自粛は、取材や調査に結構堪えています。王  どのような年度にしたいですか?(大学的な)松田 いやいやいや、そんな大上段に振りかぶられたら困るやないか(笑)え、そういう立場だろうって? 失礼しました。でも、就任いきなりこの騒ぎだから、よく忘れるんよ(笑)ありていに言えば、学部長というよりも経営学部の新型コロナ感染対応窓口ですね。少くともワクチンと処方薬が開発されて、新型コロナがインフルエンザと同じ病気になるまでは、ひたすら守勢だね。我慢の年度かな。人間において一番耐え難い営みのひとつが、この我慢ということなんだよね。この年度だけで済めばいいけど…。まあ、騒動が終息したときには、皆が無事でありますように、自分も含めて…というところですかね。INTERVIEW松田裕之 新学部長にインタビュー

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